1979年にリリースされたU.K.サブスのデビューアルバム『Another Kind of Blues』は、UKパンクシーンの輝かしい遺産の一つとして今も多くのリスナーに愛されています。チャーリー・ハーパー率いるこのバンドは、ロンドンのパンク・アンダーグラウンドから登場し、シンプルで攻撃的なサウンドと反骨精神あふれるリリックで一躍注目を集めました。本作は、激動の70年代末期における若者の不安と怒りを象徴する作品といえます。
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ジャンルとサウンド
『Another Kind of Blues』は、純粋なパンクロック・アルバムとしてその地位を確立しています。バンドの直線的なサウンドは、ザ・クラッシュやセックス・ピストルズといった先行するバンドから影響を受けつつも、荒々しいエネルギーとスピード感で際立っています。ギターリフのシンプルさ、強烈なベースライン、そしてハーパーのざらついたボーカルが一体となり、パンキッシュなカタルシスを生み出しています。
アルバムの特徴とおすすめトラック
全体で約30分の短さながら、21曲が凝縮されたこのアルバムは、1曲ごとのインパクトが強烈です。おすすめの曲をいくつか挙げると:
- “C.I.D.”
アルバムのオープニングを飾るこの曲は、速いテンポとキャッチーなメロディが特徴で、初期パンクの象徴的なサウンドを提供しています。エネルギッシュなボーカルがリスナーを一気にアルバムの世界に引き込みます。 - “Tomorrow’s Girls”
中毒性のあるフックが印象的なこの曲は、U.K. Subsの代表的なアンセムの一つです。未来への希望と現実への不満が交錯するリリックが秀逸。 - “Strangehold”
アルバムの中でも特に洗練された仕上がりを見せる楽曲。パンクの激しさに加えて、メロディアスな側面も楽しめるトラックです。
社会的背景と影響
『Another Kind of Blues』は、70年代後半のイギリスが抱えていた社会的問題を反映しています。若者たちの失業率の高さや政治的混乱を背景に、アルバム全体に漂う反体制的なメッセージが、その時代の象徴として語り継がれています。特にU.K. SubsはDIY精神を重視し、後のハードコアパンクやオイ・パンクにも多大な影響を与えました。
まとめ
『Another Kind of Blues』は、UKパンクシーンを語る上で欠かせない作品です。その直感的で力強いサウンドは、今もなおリスナーに活力を与え続けています。荒々しいけれどもどこか懐かしさを感じさせるこのアルバムは、パンクの原点に立ち返りたい人にも、新たにその魅力を知りたい人にもおすすめの一枚です。