2002年にリリースされたThe Chemical Brothersの4作目『Come With Us』は、彼らのルーツに立ち返りつつ、エレクトロニック・ミュージックの可能性を押し広げた重要作です。ビッグ・ビートの重厚さをベースに、サイケデリックな音像と巧みなサンプリングが織り成すこの作品は、2000年代初頭のダンスミュージックにおけるマイルストーンのひとつと言えるでしょう。
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ジャンルと音楽性
ジャンル的にはビッグ・ビートを基盤としながら、テクノ、ブレイクビーツ、さらにはダブやロックの要素までも取り込んだクロスオーバーな作風が特徴です。リズムのうねりと音の爆発力は健在ながら、前作『Surrender』の開放感とは異なり、より内省的かつ緻密なアレンジが際立ちます。The BeatlesやKraftwerkを彷彿とさせる音響的実験も随所にあり、彼らの音楽的野心が強く反映された作品です。
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おすすめのトラック
- 「Come With Us」
オープニングを飾るタイトル曲。サイケデリックなシンセとバウンシーなビートが交錯する、まさにアルバムの“入口”として機能する強烈な一曲です。異次元へ誘うようなヴォーカル・サンプルが印象的。 - 「It Began in Afrika」
本作を象徴するグルーヴチューン。アフリカン・ドラムのようなビートが延々と続く中、徐々にサイレンやスネアが重なっていく展開は圧巻。クラブでの破壊力も絶大です。 - 「Star Guitar」
James Holdenのリミックスでも知られるこの曲は、美しいメロディとミニマルな構成が特徴。反復するギター・ループとビートの組み合わせは、中毒性の高い“動く風景”のような印象を与えます。Michel GondryによるMVも必見。 - 「The State We’re In」
Beth Ortonをフィーチャーした、ダウンテンポなエレクトロニカ・バラード。繊細なメロディと彼女のナチュラルなヴォーカルが、他の楽曲とは一線を画す深みを与えています。 - 「Galaxy Bounce」
The Chemical Brothersらしいファットなビートとサイケ感が炸裂する、攻撃的かつ中毒性の高いインストゥルメンタル・トラック。タイトル通りの“宇宙的な跳ね感”があり、クラブシーンを意識したアグレッシブなアレンジが光る1曲です。
アルバム総評
『Come With Us』は、The Chemical Brothersが単なるビッグ・ビートの代表格であることを超えて、音楽的実験と構造的な美学を持ったアーティストであることを証明したアルバムです。荒々しいエネルギーと洗練されたサウンドスケープのバランスが見事で、彼らの中期キャリアにおける金字塔といえる作品です。