アメリカ南部の埃っぽい空気と闇をまとった音が炸裂する、Black Eyed Vermillionの『Hymns for Heretics』は、ただのロックでもカントリーでもない。アウトロー精神と哀愁、そして火薬の匂いが染み付いたブルースパンクの傑作だ。フロントマン、ゲイリー・リン・フロイドの荒削りな歌声が魂に火を点け、破壊的なビートと共に駆け抜けるこの一枚は、信仰と背徳のはざまで叫ぶような“異端者の讃美歌”だ。
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ジャンルと音楽性
『Hymns for Heretics』は、ブルース、カントリー、パンク、フォークといったアメリカン・ルーツミュージックを縫い合わせ、そこにダークでゴシックな感性を織り込んだ作品。Tom Waitsのような酔いどれ詩人の哀愁と、The Gun Clubの荒涼としたパンクスピリットが交錯する。カントリーの枠を超えた“カントリーパンク”と呼ぶにふさわしい荒々しい音像は、まるで酒と血と煙草のにおいを運んでくる。
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おすすめのトラック
- 「Jesus in the Waiting Room」
荒削りなブルースパンクとゴスペルの皮肉が交差する一曲。哀愁漂うメロディに、宗教と人生の矛盾を突くリリックが乗り、痛烈ながらもどこか救いを感じさせる。 - 「Fare Thee Long」
Black Eyed Vermillionが見せる哀愁と泥臭さの融合。別れの痛みを滲ませた歌声と、アコースティックな響きが胸に染みる、切実で美しいバラードだ。 - 「Devil’s Lettuce」
退廃と皮肉が交差する1曲。荒々しいブルースとカントリーの融合に、ダークユーモアがにじむリリックがクセになる。 - 「One Foot In the Grave」
哀愁と荒々しさが交差する代表曲。死を前提とした生の美学を、ブルージーな旋律とざらついた歌声で描き出している。
アルバム総評
『Hymns for Heretics』は、宗教的な象徴と罪深い生をテーマに据えたダークでパワフルな作品である。Black Eyed Vermillionは、パンクやブルースの荒々しさを軸にしながらも、物語性と叙情性を重視したサウンドを築いている。酔いどれ詩人のようなリリックと、血と泥にまみれたような音の塊が、リスナーを否応なく巻き込む。
アウトサイダーに寄り添うような視線を持つこのアルバムは、現代の偽善に背を向け、自らの信念を貫く者たちへの賛歌であり、傷ついた心にこそ刺さる真実のブルースだ。