The Koffin Katsの『Straying From The Pack』は、デトロイト出身のサイコビリー・トリオが放つ攻撃的かつダークなエネルギーに満ちたアルバムだ。彼らの持ち味である不穏なベースのうねり、ザラついたギターリフ、そして荒削りながらもどこかキャッチーなメロディが一体となり、リスナーを夜のアンダーグラウンドへと引きずり込む。タイトルが示す通り「群れから逸脱する」ような姿勢を貫き、サイコビリーという枠を超えてパンクやロカビリーのエッセンスを自由に融合させている点も印象的だ。
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ジャンルと音楽性
このアルバムはサイコビリーを核にしながらも、スピード感あふれるパンク・ロックの直情的な勢い、ロカビリーのクラシカルなリズム、さらにはダークなホラー・テイストを併せ持つ独自の音楽性を展開している。アコースティックではなくスラップベースを前面に押し出すことで、心臓を直接叩くような迫力を生み出し、ギターは歪んだリフと短いソロで荒々しさを演出。ヴォーカルはラウドでグロウル気味なスタイルながら、フックの効いたサビで観客を巻き込むポップな一面も持ち合わせている。
おすすめのトラック
- 「Graveyard Tree III」
重厚なベースラインと不穏なメロディが交錯し、墓場の木の下で囁かれるような物語が展開される。Koffin Katsのダークな世界観を最もよく体現した楽曲で、ファンの間でも評価が高い。 - 「Setting Her Free」
メロディアスなギターリフと哀愁を帯びた歌詞が印象的なミッドテンポの楽曲。自由を求める女性の物語が、荒々しいサウンドの中に切なさを滲ませる。アルバムの中でも感情の振れ幅が大きい一曲。 - 「Buzzkill Bitch」
攻撃的なタイトルに違わず、怒りと皮肉が詰まったパンキッシュな一曲。短いながらもインパクトは絶大で、Koffin Katsの反骨精神が炸裂する。 - 「For Hire」
アルバムのラストを飾るこの曲は、アウトローな生き様を描いた歌詞と、疾走感のある演奏が融合した締めくくりにふさわしい一曲。バンドの“雇われ者”としての姿勢が垣間見える。
アルバム総評
『Straying From The Pack』は、The Koffin Katsがサイコビリーというジャンルの枠を超え、より広がりを見せた重要作だ。彼らの代名詞である暗黒のカオス感を保ちつつも、楽曲ごとの個性を際立たせ、バラエティに富んだ仕上がりとなっている。粗暴さとキャッチーさの絶妙なバランスは、ジャンルに馴染みのないリスナーも引き込む力を持ち、同時にサイコビリー・ファンにとっては必携の一枚だ。まさにタイトル通り「群れから逸脱する」姿勢を鮮やかに体現した、The Koffin Katsの進化を刻むアルバムと言えるだろう。