1980年代のネオ・ロカビリー・ムーブメントを牽引したバンド、Polecats(ポールキャッツ)。彼らのアルバム『Cult Heroes』は、その名のとおり、カルト的な支持を受ける名曲を集めたコンピレーション的な作品であり、ロカビリーへの愛とパンクのエネルギーを融合させた一枚だ。伝統的なロカビリーのルーツを守りながらも、モッズ、パンク、ニューウェイブといった80年代の多彩な音楽潮流と見事に交錯する、独特なポールキャッツ・サウンドがここに詰まっている。
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Amazon.co.jp: Cult Heroes : The Polecats: デジタルミュージック
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ジャンルと音楽性
『Cult Heroes』は、基本的にはロカビリーに分類されるが、エッジの効いたギターリフ、シャープなビート、そして軽妙なヴォーカルによって、ネオ・ロカビリーというジャンルを超えて広がるスタイルを展開している。Stray CatsやThe Meteorsと同時代に活躍しつつも、よりポップかつモッズ寄りのファッション感覚と音楽性で、パンク世代の心もつかんだ。エレクトリックでありながら、ロカビリーの伝統的スラップベースやエコーを効かせたギターなども健在で、古き良きスタイルと新時代の融合を実感できる。
おすすめのトラック
- 「Rockabilly Guy」
アルバムの中でも特に人気のある代表曲。パンキッシュでスピーディなロカビリー・ビートに、洒落たユーモアがにじむリリック。クラブで流れれば、フロアが一瞬で沸くタイプのキラーチューン。 - 「Chicken Shack」
50年代ロカビリーの精神を80年代の感覚で蘇らせた、クラブでもライブでも盛り上がるキラーチューンだ。レトロとモダンの絶妙なブレンドが、今聴いても鮮烈に響く。 - 「Red Hot Rock」
鋭く刻まれるギターとドライブ感あふれるリズムが、クラシックなロックンロールの魅力を現代に呼び戻す。ヴォーカルもシャウト気味で勢い抜群。踊らずにはいられない、ネオロカビリーの真髄が詰まったナンバーだ。 - 「Rockin’ All Nite」
スラップベースの弾むようなリズムと、ノリのいいギターリフが絶妙に絡み合い、リスナーを1950年代のダンスホールへと誘う。Polecatsらしいキャッチーさとスピード感が光る、パーティーにぴったりな一曲。 - 「Big Green Car」
スラップベースが前面に出た典型的ロカビリーナンバー。単純なコード進行ながら、勢いとアティチュードで最後まで押し切る潔さが心地いい。ライブ映え必至の一曲。
アルバム総評
『Cult Heroes』は、Polecatsというバンドの幅広い音楽性とエネルギーを凝縮した作品だ。ロカビリーを出発点に、カバー曲やオリジナルの双方で、自分たちの色をきっちりと打ち出している。ジャンルの境界線を軽やかに飛び越えながらも、どの曲にも彼ららしい不良っぽさとキャッチーさが漂っており、ロカビリー入門にも、80年代UKサウンドの再発見にもぴったりの一枚。ネオ・ロカビリーの“カルト・ヒーロー”としての名にふさわしい、時代を超えて響くアルバムである。