長年にわたりUKサイコビリー/ネオロカ・シーンの異端児として名を馳せてきたThe Long Tall Texans(ロング・トール・テキサンズ)。その中でも2017年にリリースされた『Headless』は、彼らの勢いと実験性が程よく融合した快作である。本作は、彼らの真骨頂ともいえるコミカルさとワイルドな演奏力、そして不気味な世界観が一体となった、聴き応え満点のアルバムだ。
⬇️アマゾンミュージックで『Headless』をチェック⬇️
Amazon.co.jp: Headless : The Long Tall Texans: デジタルミュージック
Amazon.co.jp: Headless : The Long Tall Texans: デジタルミュージック
ジャンルと音楽性
『Headless』は、ベースにロカビリーを据えながら、サイコビリーのスピード感とパンキッシュな攻撃性、さらにはヒルビリーやスカ風味までミックスされたハイブリッドなサウンドを展開する。特にウォーキングベースとスラップ奏法の効いたベースライン、軽快かつ鋭いギターカッティング、そしてユーモア満載のボーカルスタイルが印象的だ。
The Long Tall Texansは、Stray Catsのようなキャッチーさと、The Meteorsに通じるスプーキーさの中間に位置するような独自性を持っており、このアルバムでもその個性が存分に発揮されている。
リンク
おすすめのトラック
- 「Headless」
持ち味であるコミカルなストーリーテリングとスリリングなサイコビリー・サウンドが融合した傑作。切れ味鋭いギターと躍動感のあるリズムが、奇抜でシュールな歌詞をさらに引き立てる。ホラーとユーモアを絶妙にブレンドした、中毒性の高い1曲。 - 「Countdown To a Breakdown」
勢いと遊び心に満ちたサイコビリー・パーティーのような作品。ロカビリーの跳ねるリズムにパンクの攻撃性を乗せ、一気に駆け抜けるような爽快さがある。エネルギッシュで楽しい、ジャンルの枠を飛び越える快作だ。 - 「In My Dreams」
ちょっぴりメロウでノスタルジックな一面が光る一曲。跳ねるようなベースラインとクリーンなギターが絡み合い、夢見心地の中にもロカビリーの芯をしっかり感じさせる。荒々しさよりも哀愁が前に出た、バンドの幅を感じさせる魅力的なナンバーだ。 - 「Ladyboy」
ユーモアとスピード感が炸裂するパンキッシュなロカビリー・チューン。キャッチーなリフと挑発的な歌詞が絶妙に絡み合い、ライブ映え必至のエネルギッシュな一曲。笑いとロックの境界線を軽やかに飛び越える、クセになるナンバーだ。
アルバム総評
『Headless』は、The Long Tall Texansの持つ“ふざけた真剣さ”が炸裂した一枚だ。荒削りながらもタイトな演奏と、ユーモアを忘れないパンク精神が、まさにバンドの魅力そのもの。名作『Saturnalia』以降、さらに自由度を増し、聴く者を笑わせながら踊らせるそのスタイルは唯一無二。
バンド初心者にとっても、このアルバムは入り口として最適であり、コアファンにとっては、バンドの本領を再確認できる一枚である。頭がなくても魂はロックする、そんなメッセージが聴こえてきそうなアルバムだ。