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90年代後半のアンダーグラウンドを駆け抜けたドワーヴスが放つ、反骨と退廃のロックンロール美学!『The Dwarves Are Young and Good Looking』は、聴く者を振り回しながらもどこか愛さずにいられない、最高にいかれた名盤だ

punk Punk/SkaPunk/Garage
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タイトルからしてすでに挑発的だが、中身はもっと過激だ。Dwarvesの1997年作『The Dwarves Are Young and Good Looking』は、混沌、皮肉、暴力、そして圧倒的なキャッチーさが一体となった、パンクの暴走美学の結晶。過去の極端な暴走ぶりから一歩引き、より洗練されたアプローチを見せつつも、その牙は決して抜かれていない。バンドがカルト的存在から“伝説”へと進化した、決定的な一枚だ。

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ジャンルと音楽性

このアルバムの中心にあるのは、ガレージパンク、ハードコア、ポップパンクが交差する爆音のキャンディー・コーティング。Dwarvesはかつてのノイズ寄りハードコアから、より構成のある楽曲、フックの効いたメロディ、明確なギターリフへと舵を切っており、それがこのアルバムの最大の魅力だ。

とはいえ、従来の暴力性やエロティックな皮肉は健在。曲はほとんどが1~2分台で、シンプルでいて瞬発力に満ちたパンクロック。録音もクリアになり、楽曲の鋭さがより鮮明になった印象がある。

おすすめのトラック

  • Everybodies Girl」
    パワーポップ調のナンバー。フックのあるメロディと、キャッチーなのに下品という絶妙なバランス感が光る一曲。バンドの“新章”を告げるにはふさわしい、親しみやすくも尖った名曲。
  • 「You Gotta Burn」
    このアルバムを象徴する、シンプルかつ破壊的なギターリフと憎悪まみれのリリック。冷笑的な叫びが、聴く者の胸を鋭くえぐる。Dwarvesの中でも特にファン人気が高い一曲。
  • 「One Time Only」
    疾走感あふれるビートと、どこか切なさを感じさせるメロディラインが印象的。Dwarvesらしい即物的な歌詞の中に、ふと垣間見える“ポップセンス”がクセになる。
  • 「I Will Deny」
    暴力的で不穏なパンク讃歌。全てを拒絶するかのようなタイトルとリリックに、Dwarvesのアイデンティティが凝縮されている。ライブでの定番曲。

アルバム総評

『The Dwarves Are Young and Good Looking』は、Dwarvesが“やりすぎパンク”から“完成度の高い問題児”へと進化した瞬間を捉えた作品だ。暴力性とユーモア、ポップとノイズ、そして挑発と音楽性──その全てが、絶妙なバランスで詰め込まれている。

ジャケットの自虐的なナルシズムすら含めて、全方位にケンカを売るようなこのアルバムは、90年代パンクの中でも特異な立ち位置にある。尖りつつも聴きやすい。汚いけど耳に残る。カルトバンドの名を欲しいままにした彼らの、ある意味“最も聴かれるべき”一枚だ。

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