ロサンゼルス発のインディー・ロック・バンド、Wallowsが2024年にリリースした3作目のアルバム『Model』は、バンドの成熟と実験精神が見事に融合した一枚だ。かつてのギターポップ中心のサウンドから一歩踏み出し、80年代のシンセポップや90年代のオルタナティヴロックを咀嚼しながら、現代の感性で再構築したサウンドが詰まっている。恋愛の機微、不安、そして自己認識の葛藤を描いたリリックが、ノスタルジックでありながらもフレッシュに響く作品に仕上がっている。
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Amazon.co.jp: Model : Wallows: デジタルミュージック
ジャンルと音楽性
『Model』は、インディー・ロック/ポップを基調としつつも、より幅広い音楽性を見せている。シンセやドラムマシン、空間系エフェクトを駆使し、The 1975やPhoenix、さらには昔のTalking Headsに通じるようなアートポップ的アプローチも垣間見える。また、ヴォーカルのディラン・ミネットとブラエデン・レメスターが織りなすツインボーカルの使い分けも、楽曲に表情豊かな奥行きを与えている。
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おすすめのトラック
- 「Your Apartment」
アルバムのオープナー。浮遊感あるギターとタイトなドラムが交差する、失恋を描いたインディーポップ・バラード。淡々とした語り口が感情の深みを引き立てる。 - 「A Warning」
リズミカルなビートとキャッチーなサビが耳に残る1曲。危うい関係性と自分自身の変化への警鐘を鳴らすリリックが印象的。 - 「Bad Dream」
シンセベースが主導するドリーミーなサウンドが特徴。繰り返されるフレーズが、不安と安堵のあいだを行き来する心情を上手く表現している。 - 「Canada」
フォーキーな雰囲気のギタープレイに加え、穏やかで優しいハーモニーが心を癒す。遠距離恋愛の切なさを描いたリリックにも注目したい。 - 「Calling After Me」
切なさと希望が入り混じるようなメロディに、リバーブが効いたギターとソフトなボーカルが重なり合う一曲。恋愛の余韻や未練を描いたリリックが、青春のほろ苦さを際立たせており、どこか懐かしくも温かい余韻を残すインディーポップの佳曲です。
アルバム総評
Wallows『Model』は、バンドの新たなフェーズの幕開けを告げる、洗練されたポップ・アルバムだ。前作『Tell Me That It’s Over』よりもサウンドの引き出しが広がり、エモーショナルな表現力も飛躍的に向上している。単なる“インディー・ロック”の枠を超えて、アート性と大衆性を両立したこの作品は、2020年代の若手バンドの中でも特筆すべき存在感を放っている。ポップでありながらも思索的、甘美でありながらも冷静。そうしたバランス感覚こそが、『Model』の最大の魅力だろう。