1967年初頭、モンキーズ・フィーバーの絶頂期にリリースされたセカンド・アルバム『More of the Monkees』は、前作の成功を受けて急遽制作された作品でありながら、商業的・音楽的にも大きな成果を収めた。テレビ番組の延長としてのポップバンドという立ち位置にありながら、このアルバムは彼らの音楽的可能性と、制作チームの手腕を改めて印象づける内容となっている。
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ジャンルと音楽性
本作は、サンシャイン・ポップ、フォークロック、そしてモータウン風ポップソウルなど、1960年代中盤のアメリカの音楽潮流を色濃く反映している。制作の主導権は引き続きドン・カーシュナーと一流ソングライター陣に握られており、メンバーの演奏参加は少なかったものの、その分アレンジや録音の完成度は非常に高い。シンプルで覚えやすいメロディと、若者の心情を巧みにすくい上げた歌詞が全体を貫いており、「商品としてのポップ」の理想形がここにある。
おすすめのトラック
- 「I’m a Believer」
ニール・ダイアモンド作による、モンキーズ最大のヒット曲。明るく弾けるようなピアノとギターのリフ、そしてミッキー・ドレンツのヴォーカルが絶妙にマッチし、聴く者を一瞬で笑顔にさせる。まさに60年代ポップの金字塔。 - 「(I’m Not Your) Steppin’ Stone」
ガレージロック的なリフが印象的なナンバー。パンクバンドにも後年カバーされるなど、モンキーズの中でも特に攻撃的で骨太な一曲。反抗的な歌詞も印象的で、若者のアンチヒーロー像を象徴している。 - 「She」
スリリングなイントロと、ややサイケデリックなアレンジが印象的な楽曲。恋愛における葛藤や不信を描いた歌詞は、ポップでありながらも内面的な深みを感じさせる。 - 「Mary, Mary」
マイク・ネスミスが作詞作曲を担当したカントリーロック風ナンバー。ゆったりとしたグルーヴと甘やかなメロディが魅力で、後年のカントリーロックの先駆け的作品とも言える。 - 「Look Out (Here Comes Tomorrow)」
再びニール・ダイアモンドのペンによる名曲。三角関係の恋模様をテーマにした歌詞は、コミカルでありながらも切実。シンプルな構成の中に感情の揺れが見事に表現されている。
アルバム総評
『More of the Monkees』は、テレビ発のバンドという先入観を良い意味で裏切る、完成度の高いポップアルバムだ。商業的な要請によって急いで作られた作品であるにもかかわらず、ヒット曲の連発、バラエティ豊かな楽曲群、そして何よりもメンバーの個性が少しずつ顔を見せ始めている点が魅力的である。特に、マイク・ネスミスの作家性やミッキー・ドレンツのヴォーカル力は際立っており、モンキーズというプロジェクトが単なる偶像ではなく、実力あるアーティスト集団であることを証明した。テレビを飛び出して「本物のバンド」への道を模索し始めた彼らの姿が、このアルバムにはしっかり刻まれている。