The Fall『Code: Selfish』
1992年にリリースされた『Code: Selfish』は、マンチェスターの至宝、ザ・フォールの通算14枚目(スタジオ盤)のアルバムです。鬼才マーク・E・スミス率いる彼らが、当時のマッドチェスター・ムーブメントやテクノ・カルチャーを、彼ら独自の屈折した視点で取り込んだ重要作として知られています。前作に続きフォニ・モーリーが参加し、グループ史上最もエレクトロニックで冷ややかな質感を備えた一枚となっています。
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Amazon.co.jp: Code:Selfish : ザ・フォール: デジタルミュージック
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ジャンルと音楽性
本作の核となるのは、ポスト・パンクの精神をベースに、インダストリアルやユーロ・テクノの要素を大胆に導入した点にあります。執拗なまでに繰り返される反復ビート、金属的なギター、そしてマーク・E・スミスの呪術的で唯一無二なヴォーカルが絡み合います。従来の「ラフでガレージ」なフォールのイメージを覆し、精密かつ冷徹に構築されたサウンドプロダクションが、聴き手に強烈な中毒性をもたらします。
おすすめのトラック
- 「The Birmingham School of Business」 アルバムの冒頭を飾るこの曲は、重厚な電子ビートと攻撃的なシンセサイザーが炸裂する、本作の方向性を象徴するナンバーです。マークのスカした語り口が、冷たいグルーヴの上で踊るスリリングな楽曲です。
- 「Free Range」 先行シングルとしても知られる、グループ屈指の名曲です。不穏なメロディラインと力強い推進力を持つリズムが完璧に融合しています。不確かな時代背景を反映したような歌詞と、どこか美しさすら漂う冷徹な構成が光ります。
- 「Return」 フォール流のポップ・センスが、冷淡なフィルターを通して表現された一曲です。軽快ながらもどこか不自然なビートと、マークの執拗な繰り返しが、聴くほどに脳内にこびりついて離れなくなる、まさに「反復の美学」の極致と言えます。
- 「Everything Hurtz」 タイトル通り、ヒリヒリとした痛みを伴うような質感のトラックです。不協和音気味のサウンドと、無機質なマシーン・ビートが交錯し、リスナーを落ち着かない、しかし抗いがたいトランス状態へと誘うサイケデリックな魅力があります。
アルバム総評
『Code: Selfish』は、ザ・フォールというバンドが、単なるポスト・パンクの遺物ではなく、常に時代の先端を(彼らなりの歪んだ方法で)吸収し、進化し続ける存在であることを証明した傑作です。冷たく、硬く、それでいてどこかユーモラス。マーク・E・スミスの独裁的なビジョンが、テクノロジーという新たな武器を手に入れた瞬間がここに刻まれています。90年代オルタナティブ・ロックを語る上で欠かせない、異形の名盤です。



