The Damned『Damned Damned Damned』
1977年2月18日、イギリスの音楽史に消えない傷跡を残す一枚のアルバムが発表されました。それが、ザ・ダムドのデビュー作『Damned Damned Damned(邦題:地獄に堕ちた野郎ども)』です。セックス・ピストルズやザ・クラッシュよりも早く、ロンドン・パンク・シーンにおいて「世界初のパンク・アルバム」としてリリースされた本作は、当時の停滞した音楽シーンを粉砕する破壊力を持っていました。プロデューサーにニック・ロウを迎え、わずか数日で録音されたというこの作品には、初期パンク特有の粗削りな情熱と、制御不能なエネルギーが凝縮されています。
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ジャンルと音楽性
本作のジャンルは、正真正銘、純粋無垢な「パンクロック」です。複雑な構成や技巧を一切排除し、スピーディーなビートと歪んだギターリフ、そしてデイヴ・ヴァニアンの低く野太いヴォーカルが炸裂します。ブライアン・ジェイムスの書く楽曲は、R&Bやガレージロックのルーツを感じさせつつも、それを極限までスピードアップさせたもので、後のハードコア・パンクの原型とも言えるスピード感を備えています。知性よりも衝動、洗練よりも破壊を優先したサウンドは、リリースから45年以上を経た今でも驚くほど新鮮に響きます。
おすすめのトラック
- 「Neat Neat Neat」 アルバムの幕開けを飾る、地を這うようなキャプテン・センシブルのベースラインが印象的な名曲です。パンクロックのクールな側面と、爆発的なエネルギーが完璧に融合しており、リスナーを一瞬でダムドの世界観に引き込みます。
- 「New Rose」 パンク史上初のシングルとしても有名な、歴史的価値の高いトラックです。冒頭のドラムフィルから一気に加速する疾走感は圧巻で、これぞパンクと言わんばかりのキャッチーなメロディが耳に残り、ライブでの定番曲としても愛され続けています。
- 「Fan Club」 少しダークで不穏な空気を纏った楽曲です。デイヴ・ヴァニアンのゴシックな雰囲気を感じさせるヴォーカルが際立っており、単なる速いだけのパンクバンドではない、彼らの持つ独特の深みや後の音楽的展開を予感させる一曲です。
- 「I Feel Alright」 ザ・ストゥージズのカバーであり、アルバムのクライマックスを飾るエネルギッシュなナンバーです。原曲の退廃的な雰囲気をダムド流の荒々しさでコーティングしており、混沌としたカオスの中でアルバムが幕を閉じる爽快感を味わえます。
アルバム総評
『Damned Damned Damned』は、単なる歴史的資料ではありません。ここには、何かを変えようとする若者たちの純粋な「怒り」と「遊び心」が同居しています。計算された戦略よりも、その場の勢いと初期衝動を優先したからこそ生まれたこのサウンドは、時代を超えて聴く者の魂を揺さぶります。音楽理論や理屈を飛び越え、ボリュームを最大にして体感すべき、パンクロックの聖典と言える一枚です。



