yeule『Evangelic girl is a gun』
シンガポール出身のアーティスト、Nat Ćmielによるプロジェクト「yeule」が放った楽曲『Evangelic Girl is a Gun』は、インターネット世代の孤独と救済、そして自己破壊的な美学を象徴する一曲です。前作『softscars』で見せたギター・ロックへの接近と、初期のグリッチ・ポップが融合し、さらに研ぎ澄まされたサウンドスケープを展開しています。この曲は、現代のデジタル・エイジにおいて「存在すること」の痛みと解放を、あまりにも繊細で攻撃的な形で表現しています。
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ジャンルと音楽性
本作のジャンルは、アンビエント・ポップ、シューゲイザー、そしてエレクトロニカが複雑に交差する「サイバー・ポップ」と言えます。歪んだギターのフィードバックノイズと、透き通るようなボーカルの対比が印象的です。美しくも不穏なメロディラインは、エヴァンゲリオンなどのアニメ文化やネット・ミームからの影響を感じさせつつ、極めてパーソナルな感情の吐露として機能しています。脆さと強さが同居するその響きは、まさに「銃」を手にした少女の危うい均衡を描き出しています。
おすすめのトラック
- 「Evangelic girl is a gun」 歪んだベースラインと浮遊感のあるシンセが、タイトルの通り「攻撃的なまでの純真さ」を感じさせます。サビに向けて感情が爆発する構成が圧巻です。
- 「The Girl Who Sold Her Face」 鋭いビートとノイズが混ざり合う、yeuleの初期衝動を感じさせる楽曲。自己アイデンティティの断片化をテーマにしたような、痛々しくも美しい世界観が魅力です。
- 「Eko」 静謐なアンビエント空間の中に、ささやくようなボーカルが響く楽曲。デジタルな静寂の中で、自分の残響(エコー)を探すような孤独な美しさが際立ちます。
- 「Dudu」 実験的なリズムアプローチとポップなメロディが同居する一曲。予測不能なサウンドの展開は、まさにネットの深淵を彷徨うような感覚を聴き手に与えます。
- 「Saiko」 インダストリアルな要素と、中毒性の高いフックが特徴的な楽曲。狂気と可愛らしさが背中合わせになったような、yeuleの多面的なペルソナが凝縮されています。
アルバム総評
yeuleの音楽は、常に現実と仮想空間の境界線上で鳴り響いています。今回の「evangelic girl is a gun」は、彼女がこれまで築き上げてきたサイバーパンクな世界観に、より生々しい人間の衝動を吹き込んだ傑作です。完璧ではないことの美しさ、そしてデジタルな殻を破って溢れ出す感情の奔流は、現代を生きる私たちの心に深く突き刺さります。単なるトレンドとしての「Y2K」や「グライムス以降」の文脈を超え、彼女は唯一無二のアート・アイコンとしての地位を確固たるものにしました。



