2008年にリリースされたRancidのコンピレーションアルバム『B Sides and C Sides』は、長年のファンにとってまさに宝箱のような一枚です。タイトルの通り、シングルのB面やコンピレーションへの提供曲、リミックスやライブ音源などを網羅しており、公式アルバムには収録されていないけれども、彼らの本質が強く表れている楽曲が詰め込まれています。
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ジャンルと音楽性
ジャンルとしては、Rancidの王道であるストリート・パンク/スカパンクを中心に、ハードコア寄りのナンバーやレゲエ風味の楽曲も含まれています。オリジナルアルバムに収まらなかったとはいえ、いずれの楽曲もラフでエネルギッシュで、Rancidがいかにブレずにその姿勢を貫いてきたかを感じさせてくれる構成です。
おすすめのトラック
- 「Tattoo」
疾走感とタフさが際立つスラッシュ寄りのパンクナンバー。ティム・アームストロングのしゃがれ声とラーズ・フレデリクセンのシャウトがぶつかり合う、荒削りな魅力が光る一曲。 - 「Endrina」
Rancidのメロディアスな側面が覗ける、哀愁漂うナンバー。スカのリズムと切ないリフが印象的で、バンドの幅広い音楽性が垣間見えます。 - 「Kill the Lights」
短く鋭く切り込むリフと、パンクの原点とも言える反抗的な姿勢が詰まった一曲。タイトル通り、照明を切ってでも真実を歌いたいというメッセージ性が響きます。 - 「Ben Zanotto」
レゲエとロックのクロスオーバー的な一曲で、彼らがThe ClashやOperation Ivyから受けた影響を強く感じさせます。リズミカルで耳に残る構成は、コンピレーション収録とは思えない完成度。
アルバムの意義と聴きどころ
『B Sides and C Sides』は、単なる“おまけ”や“ファンアイテム”にとどまらない内容を持ったアルバムです。むしろ、このアルバムを通してRancidというバンドの軌跡をもう一度辿りなおすことができ、各時代ごとの音の質感やバンドの変遷も垣間見える点が興味深いポイントです。
また、収録曲の中には、初期のハードコアな勢いを持つものから、スカやレゲエの影響を色濃く感じる柔らかめの曲まで揃っており、その振り幅がバンドの多面性を浮き彫りにしています。
特にRancidのファンにとっては、過去に入手困難だった音源を一気に聴ける点で非常にありがたい内容です。未発表やB面とは思えないほどのクオリティとエネルギーが込められており、“捨て曲ゼロ”という言葉がぴったりのアルバムです。
総評
『B Sides and C Sides』は、Rancidの音楽的ルーツと進化を凝縮したような、奥深くもパワフルなコンピレーション作品です。オリジナルアルバムを聴き込んだファンにとっては新たな発見の連続であり、まだRancidに出会っていないリスナーにとっては、彼らの真髄に触れる入口となる一枚でしょう。