The Jon Spencer Blues Explosion『Extra Width (Deluxe)』
1993年にリリースされた『Extra Width(エクストラ・ウィズ)』は、ザ・ジョン・スペンサー・ブルーズ・エクスプロージョン(JSBX)の名を世界に轟かせた記念碑的な作品です。ベース不在という変則的な3人編成から放たれる、極限まで歪んだギターとプリミティブなドラムは、当時のオルタナティヴ・ロック・シーンに凄まじい衝撃を与えました。今回のデラックス・エディションでは、オリジナル盤のソリッドな魅力はそのままに、レアなシングル曲やアウトテイク、さらにはリハーサル音源まで網羅されており、彼らの創作の舞台裏までをも体感できる決定版となっています。
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ジャンルと音楽性
本作の音楽性は、一言で言えば「ガレージ・パンクとブルーズの暴力的な融合」です。伝統的なブルーズの様式を一度解体し、パンクのスピード感と、ヒップホップ的なエディット感覚、そしてソウル・ミュージックの熱狂を注ぎ込んで再構築しています。ジョン・スペンサーのエルヴィス・プレスリーを彷彿とさせるセクシーかつ絶叫に近いボーカル、ジュダ・バウアーの鋭利なギター、そしてラッセル・シミンズの野性味溢れるドラミング。低音不在を感じさせない、全帯域が攻撃的な「爆音」が本作の真髄です。
おすすめのトラック
- 「Afro」 アルバムの冒頭を飾る、JSBXの代名詞とも言える名曲です。地を這うようなギターリフとジョンの「Bellbottoms!」という咆哮が、一瞬で聴き手を狂乱の渦へと引き込みます。
- 「Out of Luck」 デラックス盤でも強烈な存在感を放つ、不穏でスリリングなナンバーです。不規則に打ち鳴らされるビートと、神経を逆撫でするようなギターのフレーズが、彼ら特有の「ジャンク」な魅力を凝縮しています。
- 「Pant Leg」 ファンキーなビートとノイジーなギターが交錯する、JSBX流のダンス・ナンバーです。ブルーズの泥臭さとニューヨークの都会的なエッジが見事に共存しており、聴く者の本能を揺さぶります。
- 「History of Lies」 デラックス盤ならではの未発表バージョンも聴きどころです。よりラフで剥き出しの音像からは、スタジオに充満していたであろう火花が散るような緊張感と、溢れ出るクリエイティビティがダイレクトに伝わってきます。
アルバム総評
『Extra Width (Deluxe)』は、単なるリマスター盤の枠を超え、90年代ロックが持っていた「何が起こるかわからない危うさ」を現代に蘇らせるドキュメントです。ブルーズという歴史ある音楽を、これほどまでに不敵に、そして情熱的に塗り替えたアーティストは他にいません。洗練とは無縁の、泥と汗とフィードバックノイズにまみれたこの音こそが、ロックンロールの本来あるべき姿です。これからJSBXを聴く入門者にとっても、当時の熱狂を知るファンにとっても、一生モノの愛聴盤となること間違いありません。



