Pop/Soul/Jazz

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パーシー・スレッジの『Take Time to Know Her』は、ただのソウル・アルバムではない。愛の歓びと痛み、慎重さと情熱、そのすべてを一人のシンガーが魂を込めて歌い上げた、永遠に色褪せない“愛の叙事詩”である

1968年にリリースされたPercy Sledgeのアルバム『Take Time to Know Her』は、ソウルの真髄を存分に味わえる名作であり、彼の甘くも力強いヴォーカルが存分に堪能できる一枚です。デビュー曲「When a Man Loves a Woman」で一躍スターとなったSledgeが、その後のキャリアをしっかりと確立するために放った重要作であり、彼の情熱的な歌唱とゴスペルにルーツを持つ感情表現がアルバム全体に深い陰影を与えています。愛、裏切り、切なさといったテーマを、魂を揺さぶるような声で描き出すこのアルバムは、まさにソウル・バラードの金字塔です。
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革新的なクロスオーバーで時代を切り拓いたネナ・チェリーのデビュー作『Raw Like Sushi』は、ヒップホップの力強さ、R&Bの柔らかさ、ポップのキャッチーさ、そしてラテンやジャズのエッセンスまでも飲み込み、1989年の音楽シーンを一気に塗り替えた衝撃作

1989年にリリースされたNeneh Cherryのデビューアルバム『Raw Like Sushi』は、ヒップホップ、R&B、ポップ、ダンスミュージックといった多彩な要素を融合させた革新的な作品です。彼女はスウェーデン出身で、ジャズトランペッターDon Cherryを父に持つという音楽的背景を活かし、ジャンルの垣根を越える独自のスタイルを確立しました。本作は、当時の音楽シーンにおいて「女性がラップを前面に押し出す」という新しい潮流を作り出し、国際的な評価を獲得した重要なアルバムです。
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ティアーズ・フォー・フィアーズの名盤『Songs from the Big Chair』は、社会への鋭い視点と心の奥底に潜む感情を同時に描き出し、シンセポップの洗練とロックのダイナミズムを融合させた80年代ポップの金字塔

Tears for Fearsの代表作であり、1985年にリリースされた『Songs from the Big Chair』は、彼らを世界的なスターダムへと押し上げたアルバムです。英国ニュー・ウェーブの流れを受け継ぎながらも、ポップスとしての普遍的な魅力を備え、壮大なサウンドスケープと深みのある歌詞によって、時代を超えて聴かれ続けています。社会的テーマと個人的感情を融合させたメッセージ性は、リリース当時のリスナーだけでなく、現代の音楽ファンにも響く強度を持っています。
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チェルシー・カトラーの『When I Close My Eyes』は、まぶたを閉じたその瞬間、彼女の声が心の奥の孤独や不安をやさしく包み込み、繊細なビートと透明感あるメロディが未来への小さな光を灯す

Chelsea Cutlerの2ndアルバム『When I Close My Eyes』は、内省的で繊細な感情を大胆に表現した作品だ。彼女の柔らかなボーカルと、ミニマルでありながら洗練されたサウンドスケープが織りなす世界は、リスナーを深い共感と余韻の中へと導く。等身大の歌詞と透明感あるメロディが、現代のベッドルームポップ/インディポップの文脈をさらに広げ、パーソナルでありながら普遍的な物語を響かせている。
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ダイアナ・ロスの『Diana』は、ソウルの情熱、ディスコの華やぎ、そして時代を超えるエレガンスを兼ね備えたこのアルバムは、今なおリスナーをフロアへと誘い、心を解放する永遠のダンス・クラシックとして鳴り響き続ける

1980年にリリースされたDiana Rossの代表作『Diana』は、ソロキャリアにおける最高傑作のひとつとして今なお語り継がれるアルバムです。特に今回のDeluxe Editionでは、オリジナルの魅力に加え、シック(Chic)のナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズによるプロデュースの真価をより深く味わえる内容となっています。ディスコからソウル、ポップスへと自在に行き来しながら、当時の音楽シーンを鮮やかに塗り替えた本作は、まさにダイアナ・ロスのキャリアを決定づけた歴史的作品です。
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ソフト・セルの『Non-Stop Erotic Cabaret 』は、きらびやかなネオンに照らされた都会の夜、退廃と官能がシンセのリズムに乗って脈打つ!Marc Almondの妖艶な歌声とDavid Ballの冷たくも心地よいエレクトロサウンドが交差し、孤独と享楽、切なさと耽美を同時に描き出す

1981年にリリースされたSoft Cellのデビューアルバム『Non-Stop Erotic Cabaret』は、シンセポップの歴史において決定的な一歩を刻んだ作品だ。その後の音楽シーンに多大な影響を与えたこのアルバムは、ポップとアンダーグラウンドの境界を軽々と飛び越え、退廃的な夜の空気をまといながら、ダークでありながらもキャッチーな世界を描き出した。今回の「Deluxe Edition」ではオリジナルの楽曲に加え、当時の空気をさらに濃厚に感じさせる追加トラックやリミックスが収録されており、初期シンセポップのエネルギーと実験精神を余すことなく体感できる。
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セイント・エティエンヌの『Foxbase Alpha』は、ロンドンの街角を漂う夜風のように、60’sポップの甘美さと90’sクラブカルチャーの躍動をひとつに織り込み、過去と未来を自由に行き来する“都会の夢想サウンドトラック”

1991年にリリースされたSaint Etienneのデビューアルバム『Foxbase Alpha』は、当時のUKインディーシーンの中でもひときわ異彩を放つ存在だ。ハウス、ポップ、インディー、60年代的サイケやソウルの断片を大胆に融合し、ロンドンのクラブカルチャーとレトロなポップ感覚を同時に描き出した本作は、ただのデビュー盤ではなく、後のブリットポップやエレクトロポップの潮流にも影響を与える先鋭的な作品として高く評価されている。サラ・クラッケネルの柔らかくも気だるいヴォーカルは、アルバム全体に都会的なメランコリーと夢見心地の浮遊感を与え、聴く者をロンドンの街角に迷い込ませるような没入感を生み出している。
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サーフェシズの『Pacifico (Deluxe)』は、南国の海辺で過ごす穏やかな午後、潮風と太陽のぬくもりをそのまま音に閉じ込めた極上のサマーポップ・トリップ!聴くたびに心を解き放つ“音のバカンス”がここに広がる

Surfacesの『Pacifico (Deluxe)』は、海辺で過ごすような心地よさと、ポジティブなエネルギーを併せ持ったポップアルバムです。オリジナル版『Pacifico』の世界観をさらに拡張し、追加トラックによって多彩な色合いが加わった本作は、日常の中にリゾート気分を持ち込みたい人にぴったり。軽やかなビート、柔らかなボーカル、そして耳に残るメロディが、まるで潮風に包まれるような幸福感を運んでくれます。
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“ポップ職人”たちの力と、バンド自身の存在感がせめぎ合う中で生まれたザ・モンキーズの『More of the Monkees』!60年代アメリカン・ポップスの極致がここにあり、耳に残るメロディと陽気なグルーヴが、今もなお色あせず聴き手を魅了し続ける

1967年初頭、モンキーズ・フィーバーの絶頂期にリリースされたセカンド・アルバム『More of the Monkees』は、前作の成功を受けて急遽制作された作品でありながら、商業的・音楽的にも大きな成果を収めた。テレビ番組の延長としてのポップバンドという立ち位置にありながら、このアルバムは彼らの音楽的可能性と、制作チームの手腕を改めて印象づける内容となっている。
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ザ・ディヴァイン・コメディの『Casanova』は、ニール・ハノンのシニカルな視線と紳士的な声が、官能と孤独、ロマンスと現実の間を軽やかに行き来しながら、ポップの形式美と文学的な世界観を完璧に融合させた、唯一無二のオーケストラル・ポップの金字塔

1996年にリリースされたThe Divine Comedyの『Casanova』は、フロントマンであるニール・ハノンの独特な世界観が全面に押し出されたアルバムだ。文学的ユーモア、風刺、そして恋愛の皮肉を、華麗なストリングスと英国風のメロディで包み込んだその音楽は、ブリットポップ全盛期にあっても異彩を放っていた。タイトル通り“色男”の視点から描かれる楽曲の数々は、単なる洒落たポップを超え、聴く者にウィットと哀愁を突きつける。