イギリス・ロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター、レイチェル・チノウリリ（Rachel Chinouriri）が、ついに待望のフルアルバム『What A Devastating Turn of Events』をリリースしました。長年「インディー・ポップの期待の新星」として熱い注目を浴びてきた彼女が放つ本作は、個人的な葛藤、アイデンティティ、そして失恋や自己発見をテーマにした、極めて親密で感情豊かな作品です。その瑞々しい感性と、脆さを隠さないストレートな歌詞は、世代を超えて多くのリスナーの心に深い爪痕を残しています。
⬇️アマゾンミュージックで『What A Devastating Turn of Events』をチェック⬇️
ジャンルと音楽性
本作の核にあるのは、90年代から00年代のブリット・ポップやインディー・ロックの系譜を継ぎつつ、現代的なエッセンスで再構築したキャッチーなサウンドです。ジャンルとしては、インディー・ポップをベースに、ネオ・ソウルフルなボーカル、そしてオルタナティブ・ロックのダイナミズムを融合させています。クリーンなギターカッティングや、軽快でありながら深みのあるベースラインが特徴的。彼女のルーツであるジンバブエの背景と、ロンドンという都会的な感性が絶妙に混ざり合った、唯一無二のポップ・アーカイブを構築しています。
おすすめのトラック
- 「Garden of Eden」 アルバムの幕開けを飾るこの曲は、瑞々しいギターの音色が印象的なインディー・ポップです。 彼女の透き通るような歌声が、ノスタルジックな風景と未来への希望を鮮やかに描き出します。
- 「The Hill」 繊細なアコースティック・ギターから始まり、徐々にエモーショナルな高まりを見せる楽曲です。 自分自身と向き合うことの苦しみと、そこから一歩踏出す解放を象徴するような一曲です。
- 「Never Need Me」 非常にキャッチーでアップテンポな、アルバム随一のキラーチューンです。 俳優フローレンス・ピューが出演したMVも話題ですが、失恋を力強い自己肯定へと変えるリリカルな対比が秀逸です。
- 「What A Devastating Turn of Events」 アルバムのタイトルを冠した、ドラマチックで重厚な構成の楽曲です。 予期せぬ人生の転換点（Turn of Events）に対する困惑と、それを飲み込み進もうとする意志が力強く表現されています。
- 「Dumb Bitch Juice」 遊び心のあるタイトルとは裏腹に、恋愛における自己嫌悪や皮肉を軽妙なリズムで歌い上げています。 彼女の等身大のキャラクターと、ウィットに富んだ歌詞の世界観が最も色濃く出ているトラックです。
アルバム総評
『What A Devastating Turn of Events』は、単なるポップ・アルバムの枠を超え、一人の女性が大人へと成長していく過程での「痛み」と「光」を記録したドキュメンタリーのような作品です。レイチェル・チヌリリは、自身の脆さを音楽という武器に変えることで、聴き手に対して「その痛みを知っている」という強い共感を提示しています。
伝統的なブリティッシュ・インディーへの敬意を払いつつも、現代的なプロダクションで見事にアップデートされたこのサウンドは、2024年を代表する重要作の一つと言えるでしょう。彼女が歩んできた道のりと、これから向かう輝かしい未来への期待を感じさせる、誠実で美しいデビュー作です。
