Cake『Fashion Nugget』
1996年にリリースされたCAKE(ケイク)のセカンド・アルバム『Fashion Nugget』は、彼らを一躍スターダムに押し上げた金字塔的な作品です。過剰な装飾を削ぎ落としたタイトなサウンドと、フロントマンであるジョン・マクリーの「歌わない」独特のヴォーカルスタイル、そして不意に差し込まれるヴィブラスラップの音が世界中の音楽ファンを虜にしました。プラチナ・ディスクを獲得した本作は、皮肉に満ちたユーモアと洗練された音楽性が同居する、90年代を象徴する一枚です。
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ジャンルと音楽性
CAKEの音楽性は、一言で定義するのが非常に困難です。あえて呼ぶならば「オルタナティヴ・ファンク・ロック」と言えるかもしれませんが、そこにはカントリー、ジャズ、ヒップホップ、そしてラテン音楽のエッセンスが絶妙なバランスでミックスされています。歪んだギターを多用せず、クリーンなトーンと軽快なトランペットが主役を張るサウンドは、当時のグランジ/オルタナ・ブームの中でも異彩を放っていました。無機質ながらも強烈に踊れる「ミニマリズムの極致」が彼らの真骨頂です。
おすすめのトラック
- The Distance このアルバム、そしてCAKEというバンドを象徴する大ヒット曲。 ドライブ感溢れるベースラインと、ジョン・マクリーのラップに近い淡々としたデリバリーが、じわじわとテンションを上げさせます。不意に鳴り響くトランペットが最高にクールです。
- I Will Survive グロリア・ゲイナーのディスコ・クラシックを、驚くほどドライにカバーした一曲。 原曲の華やかさを徹底的に排除し、冷笑的かつファンキーなロックへと変貌させています。中盤のギターソロとベースの絡みは、彼らの演奏力の高さを証明しています。
- Frank Sinatra 浮遊感のあるシンセとトランペットが、夜の都会を思わせるメランコリックなナンバー。 レトロな雰囲気を醸し出しつつも、歌詞に漂う孤独感と皮肉がCAKEらしい「陰」の部分を強調しており、アルバムの中でも中毒性が高いトラックです。
- Daria 小気味よいカッティングギターとリズムが心地よい、彼らのポップ・センスが光る楽曲。 シンプルだからこそ、それぞれの楽器の音が際立っており、聴き終わった後に思わず口ずさんでしまうような不思議な魅力を持っています。
- Friend Is a Four Letter Word アルバム序盤の、哀愁漂うバラード。 アコースティックな響きの中で綴られる切ない心情が、それまでのドライな空気感と対比して強く印象に残ります。彼らの音楽的な奥行きの広さを感じさせる名曲です。
アルバム総評
『Fashion Nugget』は、派手な演出や激情に頼らずとも、知性とリズムだけでリスナーを圧倒できることを証明した傑作です。どの曲も3分前後でタイトにまとめられており、無駄が一切ありません。一見すると風変わりな音楽に聞こえますが、その根底にはブラックミュージックへの深い造詣と、ポップソングとしての完成度の高さが脈打っています。リリースから時間が経った今でも、これほどまでに新鮮で、かつ「踊れる」インテリジェンスを感じさせるアルバムは他にありません。



