器用な生き方なんて知らない。歪んだギターと皮肉な微笑みで、混沌とした日常をアンセムに変える
ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライター、Wallice(ウォリス)がついにフルアルバム『The Jester』をドロップしました。これまでのEPで見せてきた親しみやすいベッドルーム・ポップの枠を飛び出し、今作ではより重厚なギターサウンドと、自己嫌悪や不安をさらけ出した「道化師(Jester)」としてのペルソナを追求しています。彼女の音楽は、ただのポップではありません。それは、焦燥感を抱える現代の若者たちに贈る、エネルギッシュで切実なロック・マニフェストなのです。
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ジャンルと音楽性
本作の核にあるのは、90年代のオルタナティブ・ロックやグランジへの深いリスペクトと、現代的なポップ・センスの融合です。ジャンルとしては「インディー・ロック」「パワー・ポップ」「エモ」の境界線を縦横無尽に駆け抜けます。 重なり合うディストーション・ギターの迫力と、それとは対照的なWalliceの透明感のある、しかし力強いボーカルです。かつてのEP期よりもドラムの打撃音はタイトになり、ライブハウスの最前列で浴びるような、肉体的でライブ感の強いプロダクションへと進化を遂げています。
おすすめのトラック
- 「Gut Punch Love」 その名の通り「みぞおちへのパンチ」のような衝撃的な愛を歌った一曲。リスナーを虜にする、歪んだベースラインと切ないメロディのコントラストが絶妙です。
- 「Deadbeat」 自堕落な日常を皮肉りながらも、抗いがたいエネルギーに満ちており、ライブでの盛り上がりが目に浮かびます。
- 「The Hardest Working Man Alive」 タイトルとは裏腹な皮肉とユーモアがたっぷり詰まったトラック。ミドルテンポでありながら、彼女の独創的なリリック・センスが光るアルバムの重要曲です。
- 「Manipulate」 人間関係の複雑さや支配をテーマにした、エッジの効いた楽曲。スリリングな展開とWalliceの冷徹さと熱情を行き来するボーカルが聴きどころです。
- 「Hurry Babe」 アルバム中盤を彩る、焦燥感とポップさが同居した楽曲。パーソナライズされたプレイリストにも入りやすい、キャッチーで中毒性の高いリフが印象的です。
アルバム総評
『The Jester』は、Walliceが単なる「インディーの寵児」から、次世代を担う「ロック・アイコン」へと脱皮したことを証明する傑作です。自分を道化師になぞらえながらも、その奥底にある孤独や怒り、そして希望をこれほどまでに鮮やかなサウンドで描き出した彼女の才能には脱帽するしかありません。歪んだギターの音色の中に、不思議なほどの美しさと共感が宿る。このアルバムを聴き終えた時、私たちは彼女が演じる「道化師」が、実は自分自身の鏡であることに気づかされるはずです。



