Pop/Soul/Jazz

フロック・オブ・シーガルズの『A Flock of Seagulls』は、眩いシンセと孤独な夢想が交錯する、80年代の未来予言書!テクノロジーが希望と不安を同時に孕んでいた時代、リバーブに包まれたギターと煌めくシンセが描き出すのは、宇宙を彷徨う孤独な心の旅

1982年にリリースされたA Flock of Seagullsのデビュー・アルバム『A Flock of Seagulls』は、80年代ニューウェーブの象徴とも言える一枚だ。印象的なシンセサウンド、空間的なギター、そしてSF的な世界観を融合させたこの作品は、バンドの美意識と独特の音楽的個性を決定づけた。特に代表曲「I Ran (So Far Away)」は、80年代ポップカルチャーを語る上で欠かせないアンセムとなり、バンドの存在を世界中に知らしめた。
Punk/SkaPunk/Garage

オールが1998年に放った『Mass Nerder』は、一度聴いたら忘れられないキラーチューンが満載!ポップパンクの甘さとハードコアの鋭さが、完璧なバランスで融合した90年代屈指の傑作

アメリカのメロディック・ハードコア/パンクバンド、Allが1998年にリリースした通算7作目のスタジオアルバム『Mass Nerder』は、バンド史上最もタイトでエネルギッシュな作品の一つとして評価されています。バンドの核であるBill Stevenson(ドラム)とKarl Alvarez(ベース)、そしてStephen Egerton(ギター)による鉄壁の演奏陣に、チャド・プライス(Chad Price)の力強くも情感豊かなボーカルが加わり、彼らが追求する「All Music」の理想形を体現しています。タイトルの「Mass Nerder(集団オタク)」が示唆するように、社会に対する皮肉や内省的なテーマを、高速かつメロディアスな楽曲群を通して表現しています。本作は、短尺の楽曲を多数収録し、疾走感あふれるパンクのエッセンスが凝縮された、まさに彼らのキャリアを代表する一枚です。
Heavy metal/Hard Rock

孤独の祈りが、音となって静かに世界を包み込む!マン・オブ・ソローズの『Man of Sorrows』は、沈黙の中に救済を見出すポストロック黙示録!苦悩と希望の境界線に立ち尽くす者たちに寄り添う、“美しい絶望”の音楽体験だ

孤高のメランコリック・ロックバンド Man of Sorrows が放つセルフタイトル作『Man of Sorrows』は、静謐な絶望と内省の美を極限まで研ぎ澄ました一枚だ。アルバム全体に漂うのは、喪失感と祈りのような情感。ポストロックやダークフォーク、オルタナティブの要素を内包しながら、過剰な装飾を排除したサウンドが聴く者の心に深く染み渡る。まるで、壊れた信仰と再生の狭間を音で描いたような作品であり、その静かな激しさは聴くたびに胸の奥を締めつける。
Rock/Alternative

1970年代のアメリカン・アンダーグラウンドから突如として現れた孤高の才能、ジョージ・ブリッグマン!彼の1975年発表作『Jungle Rot』は、ローファイ録音と手作りのサウンドが生む“生々しい泥臭さ”と“幻覚的なブルースロックの熱”が融合した、DIYロック史のカルト中のカルトと称される一枚だ

1975年にリリースされたGeorge Brigmanのデビュー・アルバム『Jungle Rot』は、音楽史における「忘れられた傑作」、あるいは「アシッド・アーカイヴの至宝」としてカルト的な人気を誇る作品です。当時わずか18歳だったボルチモアのギタリスト兼ボーカリストであるBrigmanが、ほとんど自宅で、プリミティブな録音技術を駆使して作り上げたこの作品は、その時代のメインストリームのロックとは全く異なる、生々しく、凶暴なディストーション・ブルース・ロックの塊です。パンク革命以前の1970年代半ばという時代に、DIY精神と、The StoogesやThe Groundhogsといったアンダーグラウンドの英雄たちへの傾倒を背景に生まれた本作は、後のノイズロックやローファイ・パンクに先駆けるプロト・パンクの極北と位置づけられています。
Rockabilly/Psychobilly

バナーンメタリックの『Requiem de la dépravation』は、退廃的な美学と凶暴なパンク・エネルギーが交差する、これが「Gore’n’Roll(ゴア・ン・ロール)」の原点!墓場から響くようなスラップベース、シニカルなフランス語の叫び、そしてホラー映画の悪夢

1994年にリリースされたBanane Metalikのファースト・フルアルバム『Requiem de la dépravation(退廃のレクイエム)』は、彼らが提唱するジャンル「Gore’n’Roll(ゴア・ン・ロール)」の誕生を告げる記念碑的な作品です。フランスのサイコビリー/ホラーパンクシーンから現れたこのバンドは、その後の過激で血生臭いステージパフォーマンスと、ホラー映画からインスパイアされた退廃的なサウンドの雛形を本作で確立しました。タイトな演奏と、フランス語の響きが持つ独特のシニカルなムードが、アルバム全体に不気味で背徳的な雰囲気をまとわせています。本作は、Banane Metalikのキャリアにおいて、彼らのアイデンティティを決定づけた「ホラーとロックンロールの融合」の原点であり、国際的なカルト的人気を獲得する基盤となりました。
Rockabilly/Psychobilly

ウッドベースのスラップは情熱的な暴力、ギターリフは切れ味鋭い純粋な衝動! デューズ・ワイルドの『Brutal Purity』は、80’sネオ・ロカビリーの熱狂と、ブルースの深みが野獣のように融合した、アグレッシブにしてメロディックな傑作

イギリスのネオ・ロカビリー・シーンから登場したDeuces Wildが、1989年にリリースしたアルバム『Brutal Purity』は、当時のネオ・ロカビリー・ムーブメントの熱狂を見事に捉えた一枚です。アルバム名は「ブルータル(残忍な、荒々しい)な純粋さ」を意味し、その名の通り、オールドスクール・ロカビリーへの純粋な愛情と、それを80年代のパンク・エッセンスで再構築した荒々しいエネルギーが同居しています。Stray CatsやRestlessといった先行バンドの影響を受けつつも、ブルースやジャズの要素を巧みに取り入れ、単なるフォロワーではない独自の音楽的深みを提示しました。タイトなリズムと切れ味鋭いギターが特徴のこのアルバムは、80年代ネオ・ロカビリーを語る上で欠かせない傑作の一つとして評価されています。
Rockabilly/Psychobilly

ロカビリーが銀河を疾走するゴーストストーリーズの『Planet Probe』!サイコビリーの狂気とスペースサウンドの幻想が交錯する、“宇宙怪談的ロックンロール”の決定盤!重力も常識も振り切って、あなたを星間のダンスフロアへと誘う音のワープ航路

The Ghost Storysの『Planet Probe』は、サイコビリーとスペースロカビリーの要素を見事に融合させた異色の作品だ。銀河を駆け抜けるようなスピード感と、ゴーストのように漂う不穏なメロディが交錯し、リスナーを“宇宙と狂気のはざま”へと連れ出す。ロカビリーのスラップベースに、サーフギターのエコー、そしてサイケデリックなシンセが重なり合う音像は、まさに異世界のジャムセッション。The Ghost Storysが描くのは、ロックンロールが宇宙を旅する壮大なSFサウンドトラックだ。
Punk/SkaPunk/Garage

ブッシュ・テトラスの『Rhythm and Paranoia: The Best of Bush Tetras』は、ポストパンク黎明期、都会の雑踏と不穏なリズムを融合させた彼女たちは、誰よりも先に“リズムで怒りを表現する”術を知っていた

Bush Tetras『Rhythm and Paranoia: The Best of Bush Tetras』は、1980年代初頭のNYポストパンク・シーンにおいて独自の存在感を放ったバンドの軌跡を総括するベストアルバムだ。彼女たちが築いたのは、アングラでアートな匂いを纏いつつも、肉体的なグルーヴと挑発的なリズムを併せ持つサウンド。そのすべてをここに凝縮した本作は、ポストパンク、ノーウェーブ、そして初期オルタナティブの橋渡し的作品としても重要な位置を占めている。リマスターによる生々しい音像と、当時の焦燥と熱気をそのまま封じ込めたような衝動が共存する、まさに“リズムと偏執狂”の名を冠するにふさわしい一枚だ。
Punk/SkaPunk/Garage

シカゴ・スカパンクの魂を燃やし尽くした一瞬の煌めきが、90年代の息吹とともに今も鳴り止まないスラップスティックの『Slapstick』!若さの痛みと希望、汗と涙が混じり合うサウンドは、聴くたびに心を熱くする

90年代シカゴ・スカパンクの伝説的存在、Slapstick(スラップスティック)。彼らのセルフタイトル作『Slapstick』(1997)は、活動期間わずか数年という短命ながらも、後のアメリカン・スカ/パンクシーンに計り知れない影響を与えた重要作品だ。メンバーの多くが後にAlkaline TrioやThe Lawrence Armsなどの人気バンドで活躍することからも、その才能の濃縮ぶりが分かる。疾走感、哀愁、そして若さゆえの衝動がひとつの塊となって炸裂する本作は、青春の痛みと希望をスカのビートに乗せて駆け抜ける、まさに90年代パンクの青春アルバムだ。
Rockabilly/Psychobilly

ロカッツの『Make That Move』は、50年代のロカビリー魂が80年代のナイトクラブで再点火!都会の夜を疾走するネオ・ロカビリーの金字塔!古き良きロックンロールにパンクのスピードをブレンドした、永遠に踊り続けたくなる一枚

1980年代初頭のネオロカビリー・ムーブメントを牽引したThe Rockatsが放つ『Make That Move』は、都会の夜を疾走するロカビリーの新時代を告げた傑作だ。クラシカルなロカビリーのスピリットをそのままに、パンクやニューウェーブのスピード感とスタイリッシュなアティチュードを融合。50年代への憧憬と80年代の革新が交差するこのアルバムは、単なる懐古ではなく、ロックンロールの進化形を提示した作品と言える。煌びやかで、野性的で、どこか切ない――The Rockatsが放つビートは、まるで夜明け前のダンスフロアに鳴り響く恋の衝動のようだ。