カリフォルニアが誇るパンクロックの雄、Rancid(ランシド)が2003年に発表した6枚目のフルアルバム『Indestructible』。前作のハードコア路線から一転、キャッチーなメロディとパーソナルな歌詞を前面に押し出した本作は、バンドの強固な結束(不滅)を象徴する一枚です。ティム・アームストロングの私生活での葛藤や、長年連れ添ったドラマーのブレット・リードが参加した最後の作品という背景もあり、非常にエモーショナルな熱量に満ちています。
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ジャンルと音楽性
本作はRancidのルーツである「ストリート・パンク」をベースに、スカ、レゲエ、そしてロックアビリー的なアプローチを融合させた集大成的な内容です。初期の衝動と中期の音楽的探究心が見事に結晶化しており、特にマット・フリーマンの超絶なベースラインと、ティムとラーズによるツインボーカルの掛け合いは円熟味を増しています。怒りだけでなく、友情や喪失からの再生といった人間味溢れるテーマが、全20曲という圧倒的なボリュームで描き出されています。
おすすめのトラック
- 「Indestructible」 アルバムの幕開けを飾るタイトル曲。力強いコーラスと疾走感溢れるビートは、自分たちの信念や仲間との絆が決して壊れないことを宣言しているようで、聴く者の胸を熱くさせます。
- 「Fall Back Down」 ティムの個人的な困難を支えた友人たちへの感謝を歌った、本作最大のヒット曲。明るくキャッチーなメロディの中に、切なさと友情の温かさが同居しており、ジャンルの枠を超えて愛される名曲です。
- 「Red Hot Moon」 スカのリズムを大胆に取り入れた、Rancidの真骨頂。マット・フリーマンのボーカルパートもあり、緩急のついたリズムとレゲエの影響を感じさせるギターのカッティングが心地よく響きます。
- 「Tropical London」 初期の名盤『…And Out Come the Wolves』を彷彿とさせる、叙情的なメロディが特徴。ロンドンの街並みを背景にした切ない世界観が、パンクの激しさの中で美しく描かれています。
- 「Django」 アルバム中盤を飾る、疾走感に溢れたパンク・ナンバー。ストレートな構成でありながら、哀愁を帯びたメロディラインが印象的です。ティム特有の掠れたボーカルが、この曲が持つどこか切なくも前向きなエネルギーを際立たせています。
アルバム総評
『Indestructible』は、Rancidが単なるパンクバンドではなく、一つの「家族」であることを証明した傑作です。音楽的にはバラエティに富んでいますが、その根底には深い哀しみと、それを乗り越えようとする不屈の精神が流れています。20年以上経った今でも色褪せないこのサウンドは、人生の荒波に立ち向かうすべての人に勇気を与え続けています。



